微積分を使ったわかりやすい「田原の物理」オンライン講座。東大、京大合格他、医学部再受験、学士編入、電験三種、弁理士試験など社会人にもおすすめ

フィズヨビの歩み

物理ネット予備校のはじまりは?

物理ウェブ講座が誕生したのは2005年です。それは、私の心の小さなひっかかりからはじまりました。

ある年の三月、予備校講師として私は忙しく働いていました。授業を終えて、講師室に戻ると、一人の高校生が、私を待っていました。
「どうしても田原先生に教わりたいんです」

新高校三年生向けの春期講習で、とりわけ熱心に参加していた生徒でした。
「四月から、高校三年生対象の講座がはじまるから、それを取ったらいいよ」僕は、あまり考えずこたえました。
「でも、無理なんです」

生徒は、下を向きました。

きけば、彼はかなり交通の不便な地域に住んでいるとのこと。私の授業をとると、帰宅が難しくなるのです。

「田原先生の授業をうけてはじめて、物理の面白さが分かったんです。絶対に、田原先生のやりかたで受験にのぞみたいんです」

とりあえず、勉強法のアドバイスをすることはできましたが、予備校にこられないという生徒をどうすることもできませんでした。夏期講習には来ます、と言っていましたが、それまで物理を独学ですすめられるかというと難しいと思いました。夏に会おうね、待っているからね、といいましたが、彼のことがずっとひっかかっていました。

物理の面白さ、楽しさを伝えられたら、受験勉強が楽しいものに変わる、それはたくさんの生徒を教えてきて分かっていました。そして、そうやって伸びていった生徒は、合格への道が開けるのです。

やる気のある、これから、という生徒の真剣な言葉に、どうすることもできなかったことが、気にかかり続けていました。

けれど、予備校にこられないという生徒に対し、何ができるのだろうか。私はそれから、考え続けていました。

予備校にこられない、という生徒はきっと他にも大勢います。部活が忙しい、学校の補講がある、なんらかの事情で通うことができない生徒...。

思い切って、インターネット上にサイトをつくり、「物理WEB講座」と名前をつけました。2005年のことです。まったく個人ではじめたので、自分でサイトのデザインをつくり、配色をきめ、メールマガジンを配信してみることにしました。当時、そんなことをやっている人は身の回りにいませんでしたし、仕事のお手本もありませんでした。(サイトがぐちゃぐちゃすぎて、「迷子になります!」と苦情もありました)講座を文章におとして、PDFでダウンロードできるようにしました。とりあえず、やってみようと毎日、パソコンにむかいはじめました。思ったよりも、講座を文章にすることは大変でした。とりあえずHPを開いたので、毎週、その文章かきに追われることになりました。

当時は、書籍もまだ出版しておらず、反響は期待できませんでした。誰もこなくても、また予備校に相談にくる生徒がいれば対応できる、という気持ちでした。

はじめると、ダウンロードの申し込みが続々と届きました。当時は、実況講義PDFのみ・しかも毎週一講義というペースの配信しかできませんでした。その状態で、勤務先の予備校以外では全くの無名の講義(しかも「迷路になるウェブサイト」!)に、多くのみなさんが支持してくださったことにとても驚きました。書店にいけば、多くの高校物理の参考書が並んでいました。人気のある講師の本でも、「物理WEB講座」のPDF版の十分の一ほどの値段で購入することができました。それにもかかわらず、わざわざ毎週ダウンロードして「田原の物理」を楽しみにしてくれる人がたくさんいました。感想もどんどん届きました。

このことは、私に一つの確信を与えました。講師に一番大事なのは、パフォーマンスでも、有名であることでもなく、「教え方」です。「田原の物理」は、私なりの「高校物理」の解釈です。価格が高くても、無名でも、講座をとるのが不便でも、書店に売っていなくても、それでも質の良いものをつくっていれば、分かってもらえるのだと思いました。そして、感想のメールを読んで、こうやって直接受講者の方々とつながるということに特別な意味を感じました。

「物理ウェブ講座」でのやり取りを通して、受講者の方からの、また、私から受講者の方への「信頼」が生まれているのを感じました。

「田原先生のやり方で受験にのぞみたいんです」という生徒に応えられなかったというのは、彼の「信頼」に充分に応えられなかったという心残りだったのだと気づきました。

物理ネット予備校は、受講者の方から私へ、私から受講者の方へ相互の信頼のやり取りがベースにあります。

設立して10年を過ぎ、物理ネット予備校は大きなものとなりました。でも、私の中では、最初の年に、受講者の方とのコミュニケーションをした感動がまだ残っています。これが、物理ネット予備校が現状に甘んじることなく、進化し続ける原動力になっています。私が信頼をして、受講者の方に「サードプレイス」に招待します。受講者の方から信頼に応えるために、究極の学びシステムをつくる努力をし続けています。