微積分を使ったわかりやすい「田原の物理」オンライン講座。東大、京大合格他、医学部再受験、学士編入、電験三種、弁理士試験など社会人にもおすすめ

フィズヨビ講習会(第1期)から学んだこと(1)

フィズヨビ講習会(第1期)が終わった。

多様性を学びに結び付けていく方法をずっと探求してきたのだけど、ようやくそのプロトタイプを作ることができた気がする。

2週間の講習会を終えて、今回の形を土台にして進化させていけばいいのだという確信が生まれている。

受講生にも豊かな学びがあったと思うけど、僕にとっても豊かな学びがあった。

今回見えてきたことを、何とかして言語化したい。

内在的世界と外在的世界との間に与贈循環を起こす

<いのち>の自己組織化について長年かけて考察している清水博さんは、生き物は、内在的世界と外在的世界の両方を持つと述べている。

清水さんは、「内在的世界は、フェルミ粒子的であり、どの個も同じ状態を取ることができず、多様化していく。一方、外在的世界はボーズ粒子的であり、すべての個が同じ状態を取ることができ、均質化していく。」と言う。

清水さんの本を読むまでは、僕は、生命系の自己組織化と、物質系の自己組織化とを区別していなかった。しかし、言われてみれば、そこには、明らかに違いがあり、自分がコミュニティに自己組織化を起こそうとする場合にやっていることは、レーザー系や対流の自己組織化を超えた様々な実践知を使っている。

暗黙知になっていた部分に清水さんの本が言葉を与えてくれたおかげで、自分で考えられるようになった。

内在的世界と外在的世界という生命が持つ異なる2つの世界を、意識が行き来することで、循環が生まれて「活き」が生まれることを、清水さんは「<いのち>の自己組織」と呼んでいる。

人が集まると外在的世界に「居場所」が生まれる。

ただ物理的に集まっただけでは、そこには何も生まれないが、集まった人たちが、自分の内在的世界から発する<いのち>を居場所に与えていくと、ある閾値を超えたときに、その居場所にドラマが生まれ、居場所の<いのち>が創発する。

外在的世界に生まれた「居場所の<いのち>」は、ドラマに加わって役者を演じている個の内在的世界の「活き」を引き出し、個は、さらに自分の<いのち>を進んで居場所に与えていく。

ここに、外在的世界に存在する居場所の<いのち>と個の内在的世界の<いのち>との間の与贈循環が生まれる。

inochi

このような与贈循環が生まれると、居場所において自発的な価値創造が始まり、そこで生まれた価値を、居場所に集まった人たちで分かち合うことができる。

一人では生み出せなかった価値が分かち合われることで、居場所に集まる意味を認識できるようになり、与贈循環は、人が入れ替わっても継続していく。

居場所に生まれた<いのち>のドラマで、それぞれが多様な役割を果たすことにより、居場所がそれぞれの個に個性を与え、個の「活き」が引き出されてくる。

個性が組み合わされて居場所の<いのち>が創造されるだけでなく、居場所に創造された<いのち>が、個に個性を与えてくれるのだ。

 

このような<いのち>の自己組織化をヒントに、多様性を創造性に繋げるような学び場を創ることができないのか考えてみた。

場に<いのち>の自己組織化が起これば、多様な個がそれぞれの役割を演じ、自分たちが居場所に生み出した<いのち>から「活き」を受け取ることができるようになり、お互いにエンパワーしあいながら学ぶことができるようになる。

これが、探究の末に僕がたどり着いたイメージだった。

欲と怖れでコントロールすると内在的世界がしぼんでいく

教育現場や、社会には、しばしば欲と怖れでコントロールしていく場が存在する。

欲や怖れのような人間の本能的な部分にアクセスすると、反射的な反応を引き出すことができる。これを利用すると、他人を操作しやすくなる。

そのようなメカニズムを発動させるためには、次の2つが有効だ。

(1)閉じ込めて外界と遮断すること

(2)1つの指標で競争させて序列化すること

生き物には、内在的世界があり、そこに意識を向けていくことが多様化の源になる。

しかし、上記の条件を満たした空間において、勝者にアメを与え、敗者にムチを振えば、意識は外在的世界のアメとムチに常に向けられ、内在的世界がしぼんでいく。

その結果、外からの刺激に一斉に同じ反応をするようなロボットのような集団を作ることができる。

この仕組みは、支配者が集団をコントロールするときに使われてきたものだ。

統制された集団からは、個は「活き」を受け取ることはできず、個は分断され、孤立していく。

このメカニズムは、世界のあちこちに見ることができる。

僕達のマインドセットの中に、知らないうちに浸透し、僕たちの活きを奪っている。

僕は、<いのち>の自己組織化が起こる場つくりを通して、自分たちの中にある自然の摂理に気づくきっかけを作りたいと思っている。

欲と怖れでコントロールされる世界から抜け出す道は、欲と怖れに外部からアクセスしてくるものに対する反応を止め、自分の内在的世界から湧き出てくるものに従って、居場所に<いのち>を与えていき、身近な人たちと<いのち>の自己組織化を起こすことで、そこから活きを受け取っていくことだと思う。一言でいえば、愛を起点として行動することが、その世界から抜け出す道なのだと思う。

ジェダイ的な学び

僕達は、愛を起点として行動し、身近な人たちと<いのち>の自己組織化を起こしていくこともできるし、欲と怖れから反応して行動することもできる。

これは、あたかもスターウォーズのジェダイとシスのようだ。

フィズヨビについて考えていたとき、物理ってフォースみたいなものだなと思った。

それ自体は、よいとか悪いとかではなく、使い方によってはどちらにも使うことができるものだ。

だから、物理を学ぶ場は、同時に、ジェダイを育てる場でないといけないと思った。

そこから、愛を起点として、場に<いのち>の自己組織化を起こしながら、物理を学んでいくフィズヨビというコンセプトができた。

現代のジェダイになるために必要なこと

今回、フィズヨビ講習会(第1期)に参加してくれた今村清寿さんは、熊本で物理を教える高校教師だ。

今村さんは、熊本震災で大変な状況の中、フィズヨビ講習会(第1期)に参加し、場に<いのち>を与えてくれた。
 
今回の講習会で起こったドラマに、今村さんの存在は欠かせない。
 
ジェダイ的な学びという考えで、今村さんと強いシンクロが起こったことは、とてもうれしいことだった。

今村さんのFacebookの連載を引用する。

【スターウォーズに学ぶ①】

結論から述べますと
「フォースとサイエンスは同じである!」

映画「スターウォーズ」には「フォース」という概念があります。宇宙を構成するすべてのものはフォースで満たされており、フォースの使い方を学ぶことで、離れているものを動かしたり、人の心を操ったり、人間の能力以上のことを成し遂げることができます。

フォースの使い手は2つに分かれ、一方はジェダイ 、もう一方はシス。

ジェダイは、フォースを世のため人のために使い、銀河の平和と秩序を守る騎士です。

シスは、フォースのダークサイド(暗黒面)を使い、恐れの感情で人々を支配しようとします。

「フォースとサイエンスは同じである!」

サイエンス(科学技術)は、自然界に潜むルールやメカニズムを解き明かすことで、エネルギーを取り出し、機械を作り、人間の能力以上のことを成し遂げてきました。

サイエンスにも善悪の二面性があります。

科学技術を世のため人のため、人類及び地球上のすべての生き物の共存共栄のために使えば、みんなが幸せになります。

しかし、武器として、他者への攻撃や支配のために使ったり、過度の開発により環境破壊を引き起こしたりすれば、みんなが不幸せになります。

もう一度言います
「フォースとサイエンスは同じである!」

ジェダイになるためにフォースを学ぶ。
世のため人のためにサイエンスを学ぶ。

田原真人氏は『現代のジェダイになるために』の中で次のように述べています。
科学という「フォース」を学ぶ場は、
同時に「現代のジェダイ」になる修行の場でなくてはならない。

今村さんの思考は、さらに深まっていく。

【スターウォーズに学ぶ②】
「学び」には、プラスのスパイラルが生じる学びとマイナスのスパイラルが生じる学びがあります。ジェダイ的学びとシス的学びです。

ジェダイの騎士は世のため人のためにフォースを学び、心身ともに向上させる修行をします。

シスは、怒りや恐れの感情で人々を支配するためにフォースを学びます。

現代の教育システムには、シス的学びの危険性が潜んでいます。「テストで点数が取れなかったらどうしよう。」「宿題が提出できずに怒られたらどうしよう」恐れの感情に支配された学びには、喜びや達成感はなく、苦しさを乗り越える忍耐力が学びだと誤認識してしまいます。

本来、学びとは楽しいもので、自らの知識や技能が増えていくことは、誰でも嬉しいはずです。

では、ジェダイ的学びとはどのようなものでしょうか?

テストで点数を取るためではなく、先生に怒られないためでもなく、自らを高めるために学ぶ。そして、高めた力を世のため人のために使う。「僕は数学が得意だから教えてあげるよ。」「私は英語が苦手だから教えてよ。」助け合える仲間がいるから学ぶことが楽しくなる。学ぶことが楽しくなるから、さらに学びたくなる。プラスのスパイラルがまわりはじめる。

気をつけたいのは、「勉強しないとテストで点数取れないぞ!」と「勉強したらテストで点数取るようになるよ!」には、どちらもダークサイドの誘惑があるということ。恐れによる支配につながる気がします。

ジェダイ的学びの場を保証し、シス的学びから生徒をまもる。そんなジェダイマスターになりたいですね。

May the force be with you.

僕がフィズヨビに作りたかったジェダイ的な学びの場を立ち上げるときに、今村さんが、そこに参加してくれたこと自体が、素敵なドラマだ。

今も、記事を書きながら、じわぁーっと感謝が溢れてくる。
 
愛を起点とした行動は、パワフルに縁を紡ぎながら、様々な方向に展開していく。

コメントを残す